人間ドックにおける腫瘍マーカーの功罪③

医師を困らせている検査のようです。

先述した通り、私は腫瘍マーカー「p-53」で基準値を超えてしまいました。そのため何かがあるかもしれないという判断となり、消化器科を受診したのです。医師に腫瘍マーカーで引っ掛かったと伝えたところ、驚いたように反応が変わりましたが、それがp-53であることがわかると急に困ったような様子を見せました。

私の場合、この検査で発見が期待されていると考えられている様々ながんを含む病気が発生しうる部分の多くを人間ドックで検査済であり、その上全て陰性という結果だったのです。その意味ではすでに検査できる場所の多くを検査済の状態であり、専門家としての医師の判断のみを求めるような展開になってしまいました。こういうケースが最近は増加傾向の様で、専門医である医師を困らせてしまいました。

病院受診をすると何でも健康保険で検査できると考えがちですが、検査の根拠となる何かがなくては保険は使えません。そのため医師を困らせてしまうのかもしれません。

私は健康保険の範囲内での検査を希望していましたし、それがCTであることは感じていましたのでわざわざCTを持っている消化器科を選択して受診をしました。それを察したのか、元々それが標準的な対応なのか、医師の判断も造影剤を使用した腹部CTでした。

人間ドックにおける腹部超音波検査と重なる部分ではありますが、検査をする技師の技量に左右される部分がありますし、熟練した技師でも超音波検査よりも造影剤を使用したマルチスライスCT の方が得られる情報も多いものです。

人間ドックではアレルギーなどのリスクのある造影剤を使用したCTはまずやりませんから、専門医療機関であるからこそ受けられる検査として個人的には申し分ありませんでした。

造影剤は初体験でしたが、注射をすると全身が徐々に熱くなっていくのがわかりました。血液に何かを入れるというのは初めての体験でしたが、これまでに経験したことの無い不思議な感じがしました。何かが体の中に広がっていく感覚がわかったのですが、これは経験しないとわからないかもしれませんね。

結論から言えばこれだけの検査をやっても所見なしでした。私は内心では想定していたことでしたので驚きもしませんでしたが、腫瘍マーカーの二次検査で異常なしというのは人によっては納得できないものがあるそうです。それはそうでしょうね、癌かもしれないと恐る恐る病院に来たのに15分程度の検査で何もないと言われても「はい、そうですか」と言える人ばかりではありません。

二次検査を行った医療機関の能力を不審に感じるケースもあれば、インチキな一次判定を出して健診機関へ怒りを向ける人もいます。腫瘍マーカーというのはそんなこともある検査ですよということを予め伝えてはいますが、仕事を休んで病院に行って、安くない検査(造影CTは3割負担で¥8000でした)を行って異常なしで良かったね、で済ませられるケースばかりではないのです。

腫瘍マーカーで部位をある程度絞れるのはPSA(前立腺)くらいなもので、特定部位のがんを検出するものはほぼありません。p-53も例外ではなく、何が原因かの特定はできないのです。

したがって今回の検査結果もCTで撮影した範囲内では「異常なし」でしかありません。検査できていない場所に何かあることもありますので、医師としては次の提案をしてきました。

①アミノインデックス(推定2~3万円)

②PET(推定10万円)

いずれもがんの検査ではありますが、保険診療で行うためには条件があります。私のようなケースでは自費での負担が必要ですのでかなりの内容です。しかしながら、これをやったら原因がわかるという保証はどこにもないのです。それを感じさせてくれる説明でした。何も出ないということは十分にあり得ますし、その方が多いかもしれません。

私は家族に相談した結果、受けないことに決めました。そうお金に余裕もありませんし、これらの検査を受けたことでがんの早期発見を実現したという実際のケースを私は知らないのです。

もしも癌があるのであれば、もう少し進行しないとわからないのかもしれません。早期発見は魅力的な響きですが、これが人間ドックや二次健診の限界だと私は思います。事実は事実として知ってもらったうえで検査を受けてほしいなと思います。

永遠に擬陽性になることもあります。そうなった場合の経済的な負担は決して無視できるものではありません。お金を払って不安を買ってしまうというのはこういうことです。薬剤由来の副作用よりよほど厄介なものだと思います。

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