ストレスチェックの本質は職場アセスメントだと思う

言わば良くない職場のあぶり出し

という機能を持っているのかなと思っています。勿論公式なものではありません。公式のストレスチェックの目的は以下の通りです。

・ 従業員自身のストレスへの気づきをうながす
・ 職場改善につなげ、働きやすい職場づくりを進める
・ 労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止する

無難な目的だとは思いますが、労働者一人一人が自分の結果を見て上記の気づきにつなげていけるかといえば、なかなか難しいというのが実情だと思います。

最初の気づきに関しては人にもよるかもしれませんが、自分で書いた結果が返ってくるだけですのでそれほどインパクトのあるものではないでしょう。再確認の意味にしかならないかもしれませんし、結果が悪かったからと言って何かが出来るのはそれなりの会社だけです。

職場改善につなげるというのは集団分析のことを言っているのでしょう。しかしこれは努力義務とされていますし、計画的に実施できている会社は全体の1割にも満たない気がします。外部委託の場合には別料金になっているサービスが一般的であり、今後伸びていくのは意識の高い会社だけでしょう。

最後のメンタルヘルス不調を未然に防止というのはその結果であり、これを実現するのには時間がかかるでしょうね。・・とはいえ、制度が始まってもう5年目なんですね。

私は2015年末に始まったこの制度について、現在はこのように考えています。

*ストレスチェックは職場アセスメント

*職場の安全配慮義務の範疇にメンタルヘルスも含むことを周知する

異論はあるかもしれませんが、こんな風に思っています。

先日ある大学の教授が「ストレスチェックは悪い職場発見器である」という趣旨の話をしていたと聞いたのですが、私はこの考え方には結構共感します。

勿論単なる発見器ではなく、毎年同じ時期に実施することで職場の状況の変化を確認するという経過観察のために使うという意味では「職場の健康診断」という位置づけのほうがより適切と思いますけど。

悪い職場発見器では経営者はともかく管理監督者は嫌がるかもしれませんが、職場の健康診断なら少しマイルドになっていませんでしょうか?いずれにせよストレスチェックは一対一のメディカルモデルとでもいうべき改善対応に終始するのではなく、職場全体へのアプローチを行い、それを評価する手段として集団分析を使ったほうが良い気がします。

個人向けのメンタルヘルス対策に価値がないわけではないのですが、職場という集団の中での状況を評価するのであれば個人を見るのではなく集団で見ないとだめだと思っています。そのため集団分析で試行錯誤している事業所の担当者を見るといろいろ考えている会社なんだなと思います。

私の勤め先で実施しているストレスチェックに関して言えば、大体以下の割合で集団分析に取り組んでいます。

①集団分析:グループ分けなし       70%

②集団分析:簡易グループ分け       25%

③集団分析:複雑グループ分け(複数対応) 5%

あくまでも大体です。まだまだやっておしまいという会社が多いという感じがしますね。

私が理想と形として案内しているのは以下のような流れです。

<最初のステップ>

*いつストレスチェックを実施するか決める。

できれば毎年同じ時期が好ましい。

*忙しい時期に設定するか、暇な時期に設定するかをしっかり決める

暇な時期に行うと業務の負担以外のストレス要因がよりはっきりと見えてきます。暇でもストレスが高いというのは業務量以外の負担の存在を際立たせます。

忙しい時期に行うと、その職場が持っている業務量がピークの環境下での状況を把握することが出来ます。一番負荷がかかると想定されるポイントをチェックすることが出来ます。

<次のステップ>

*個人への結果のフィードバック

希望に応じて医師の面談をセッティング。個別対応が必要な場合はここで対応しておくべきでしょう。ここには個人内の問題もありますので、必ずしも全てが職場の影響とは限りません。

*医師の面談、個別対応

割とここがメインだと考えている人が専門家を含めても多いのですが、ここは専門家に任せておきましょう。職場を変えるためには個人への対応では不十分です。

<職場のアセスメント>

*集団分析でどのような資料をまとめるかを決めておく

ここは努力義務なのでやっていない会社が多いですが、私は割と重要なところだと思います。会社側で問題点を考え、それを確認するために集団分析を行うのが理想です。グループ分けをどう行うかで見えてくるものは全く違います。

*グループ分けの一例

・部や課の単位で分類

・男女で分類

・年齢層で分類

・職種で分類

・役職で分類

・勤続年数で分類

・事業場ごとに分類

これは何を知りたいのかで決めるのが本来あるべき姿です。何か問題が起きている、あるいは予感をしている状況において様々な角度から集計することで傾向が見えてくるのです。それに対して職場に対する対策を行うのが目的です。

特定の集団に高いストレス状況が確認できるのであれば、その原因を検討して解決のための策を講じてみましょう。そしてその結果、次の年にどうなっているかを見るのです。対策が有効であれば変化が見えるかもしれません。

これは個人への対応ではなく、集団へのアプローチの成果を確認するという意味で使われるものです。この意味で私は「職場の健康診断」だなと思うのです。

ただ気を付けておきたいのはストレスチェックは本人が書いたものがそのまま集計されますので、嘘があれば嘘の結果になります。そのような視点も持っておくべきでしょう。

私はたまにほぼ全員が最高評価の集団というものを見ることがあるのですが、それはかなり眉を顰めるものとなります。「本当に良い職場」である可能性ももちろんあるのですが、「悪い結果を正直に書けない事情がある職場」かもしれないという可能性も考えてしまいます。結果が良いということがそのまま良い職場であることを証明しないのはポイントです。

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