職場のメンタルヘルスはどこまでやれば良いのか

職場のメンタルヘルスが良く分からない

という話はよく聞かれます。しかしながら聞かれたとしても説明して解決するような切れ味の良い何かを持っているわけではありません。ストレスチェック制度が生まれた背景からも分かるように産業の現場でもメンタルヘルス対策が必要なのは事実だと言えますが、過剰対応にならないように注意することも大切です。どこまでやる必要があるのかについては慎重に対応すべきですが、よく考えて専門家の指示を仰ぐのが良いと思います。

義務以上のことはするなと言う専門家もいる
この話を初めて聞いたとき、私は何を言っているんだと感じました。しかしながらそれから数年経った今は何を言いたかったのかが少しわかるような気もしています。

世の中にはたくさんの会社がありますが、メンタルヘルス対策への力の入れ方は様々です。力を入れることは良い事だと思いますが、それが新しい問題を生まないようにしなければなりません。

結構誤解をしている人も多いのですが、メンタルヘルスの問題はそうそう解決するものではありませんし、長引いたり再発することも少なくありません。例えとして適切であるかはともかくとして、がんや糖尿病、その他の慢性疾患になった場合のことを考えてみると、一度調子を崩してしまうとなかなか元に戻るのは難しいという現実が見えてきます。

メンタルヘルスも似たようなところがあり、職場のメンタルヘルスの場合は会社(職場)の体質が問題になる生活習慣病の様なものだと私は思っています。そこで勤める限りは高い負荷がかかることになりますので、除外可能な負荷なのかどうかを見定めつつ、対処しなくてはなりません。会社の担当者ならメンタルヘルス対策と現場のパフォーマンスを天秤にかける必要に迫られることもあるでしょう。

そんな中でメンタルヘルスの対策をするスタッフの方が自分が何とかしなければと考えてしまうと大抵は上手く行きません。そんなことはたとえ専門の医師であっても簡単にできることではないのです。そう受け入れてしまうことがメンタルヘルス担当者の事を救ってくれる場合もあります。メンタルヘルス対策に苦労をして、結果として支援側のはずのメンタルヘルス対策の担当者が病んでしまうことも結構あります。
だからこそ職場のメンタルヘルスで考えるべきは誤った判断(自殺や安易な退職、その他)をさせないように必要な対応を行い調整することであり、その様な対応を怠り大きな問題に至った場合に安全配慮義務違反に問うという仕組みなのです。その意味では私は会社は義務以上のことはせず、外部に任せるべきだという意見には反対しません。

職場がすべきことは安全のための行動

ある産業医の先生が言っていましたが、「最近の若い人はかなり簡単に死にたいと言うが、そう言われた以上は適切に医療につなげなければ万が一自殺に至った場合に会社の責任が生じてしまう。会社の義務を果たすためには知り得た情報に基づいて動くしかない」と言う話を聞いたことがあります。

職場の義務は安全に働くことが出来るようにする環境を維持し、体調不良などが生じた場合には適切に医療につなげることが大切です。体の病気になればすぐに病院に行けと指示することになるのと同じように、メンタルヘルスの問題でも心身にリスクがあると判断できるのであれば安全配慮のために病院に行かせるべきです。

最近では中規模な企業でも社内に保険室を設置したりカウンセリングに対応している場合もあるようですが、大切なことは医療が必要な人を速やかに医療につなげることであり、会社は自らの職場環境をより良いものにするために出来る対応をしていくことなんだろうと思います。

少し前の時代であれば精神的な不調は自己責任だったのだと思います。この問題に対して会社側が向かい合うのは大変だと思いますが、出来ることとできないことの線引きを明確にしないと新しい問題を生み出す気がして心配です。

そんなわけで、最近ではストレスチェックに対して真剣に取り組む担当者さんに対しては、頑張りすぎず、何かあったときには外部につなぐようにした方が良いとアドバイスしています。会社は仕事をする場所であって、治療の場でもリハビリの場でもないのですから。

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