労働基準監督署の人から聞いた役立つお話 2018

私が労働基準監督署の担当者から聞いたありがたいお話

【要注意】以下の内容はこれまでに私が直接所轄の労働基準監督署の安全衛生の担当者、または県の労働局に問い合わせをして聞いた情報です。口頭での確認であり、公式の文章になっている情報ではありませんのでご注意ください。確認する場合は各地域を担当するそれぞれの監督署の担当者に確認をすることを推奨します。

安全衛生に関わる法律については法として文章化されたものに加えて、事後に出される通達などがありますが、時代の変化に追いついておらず明確になっていない部分も少なくありません。その辺りについては法令解釈の仕方について質問をすることになります。しかしながらここでの判断基準は統一されたものではありません。あくまでも私はそう感じています。

目次

① 健康診断の省略項目について

② 特殊検診に関する考え方について

1.健康診断の省略項目について

平成29年の夏の頃、医療機関にある通達が届きました。色々書いてあったのですが、健康診断に関する部分を抜粋すると「健康診断では年齢によって検査項目の一部省略が認められているけれど、大勢をまとめて省略の対象者にするのはダメだよ」という内容でした。

確かに法律には医師の判断により省略することが出来ると書いてありますので省略すること自体は良いのです。しかし、若いからと言う理由で一律に健診項目の省略は不適切と明言されてしまいました。

健診業者の多くは40歳以上とそれ以下、厳密には35歳の扱いなどもあるのですが年齢によってコースを使い分ける対応をしてきましたのでこの対応には結構びっくりしたものです。

私は早速県の労働局に電話をしてみたのですが、大体以下の通りでした。

Q1:健診項目を省略してはダメ?

A1:法に記載のある通り、医師の判断に基づいて省略するのは問題ありません。但し個別に判断をしてください。年齢などで一律に省略するのはいけません。

Q2:法律が変わったの?

A2:法律は変わっていません。元々その様な内容の法律でしたが誤った解釈が行われているケースが多いために通達が出されました。

Q3:省略の判断をする医師って誰の事?

A3:健康診断の場合、当日健康診断の診察をする医師の判断が適当です。それ以外にも産業医が判断をすることも想定されます。

(*注 以前確認した時は医師であれば誰でもよい、と言われたこともあります。法律にも医師としか書かれておらず、見解の分かれるところだと思います)

Q4:省略する場合の判断基準は?

A4:医師の判断に任せています。

Q5:検査項目を省略したことによる問題の発生についての責任は?

A5:省略の判断をした医師にあります。

(*注 ここは大変驚きましたが、医師の責任になるらしいです。省略可能項目には胸部X線と血液検査と心電図などがありますが、怖くて省略の指示などできないのでは・・・?)

Q6:健診機関が取引先企業から省略項目での実施を要請された場合は?

A6:健康診断の受託医療機関としては要望された内容で健康診断を行うしかありませんよね。

(*注 つまり医療機関側に責任はないということ?)

以上の様な回答でした。どのように文脈を補って理解するのかは人それぞれになると思いますが、私の所属先医療機関ではQ5の内容がある以上は項目の省略はできないという雰囲気になっています。

前述した通り監督署の発言には個人差や変動がありますので変わることがあります。そのため現在の職場の健康診断については一般的な傾向として全員同じ内容での実施にシフトしていくことになると考えられます。

2.特殊検診に関する考え方について

特殊検診に関しては多くの方が困っているようです。医療機関側への質問も多く、回答に苦慮する場合は監督署に問い合わせをして回答をしています。例によって文章化されたものがあるわけではありませんのであくまでも参考材料にしてください。最終的には所轄の監督署に確認をすることを強く推奨しています。

以下、特殊検診に関してよく聞かれた質問を監督署の担当者に投げかけてみた回答集を作ってみました。質問をした当時の返答です。労働安全衛生法は改正が非常に多いので、毎年注意が必要ですね。

Q1:特殊検診は実施しなければダメ?
A1:実施しなければダメです。事業者には義務がありますので、実施しない場合には罰則があります。実施しない状態で健康を害した場合、安全配慮義務違反に問われる場合もあり得ます。

(*注 実際に監督署の監査で特殊検診が実施されていないケースを指摘され、緊急で受けたいという要望が少なくありません。良くあるのが有機溶剤です(トルエン・キシレンなどはよく見ますね)。罰則がありますが、期限までに対処をすることを求められるようです。ただ、大切なのは法的な規制があるから云々よりも従業員の健康管理のためです。正しく使っており、健康上の問題が発生していないかは企業側の管理責任になります)

Q2:指導勧奨の特殊検診は勧奨なので実施しなくても良い?

A2:行政としては実施を勧めていますので実施しなければなりません。但し他の健診とは異なり罰則がありません。罰則はありませんが業務上の影響で健康を害した場合、健康診断を実施していない場合には安全配慮義務違反に問われる場合もあり得ます。
(*注 指導勧奨にも色々な種類の健診がありますが、よく行われているのが騒音や振動、引き金、VDTなどです。たくさんの種類があります。これらは健康に影響が出る可能性のある業務であるため健康診断の実施を行政が勧奨しているという状態にあるそうです。罰則がないのは事実ですが、行政が実施を勧めている健診をしていないという責任は事業者にあり、訴えられた場合には負ける可能性が高いとか・・。実質罰則はないけれど実施すべき内容ですね)

Q3:****という薬品を使っているのですが、健診は必要?

A3:SDSを確認して各自で判断をしてください。

(*注 医療機関としてもこれを言いたいです・・。SDSと言うのは安全データシートの略称です。この中には有害性のおそれがある化学物質などの成分が明記されていますので、その中に健診が必要な成分が含まれているかどうかを確認する必要があります。種類も沢山ありますし、表現の仕方も様々なので健診機関の人間ならすぐわかるというものでもありません。丁寧に調べるしかないですね。勿論、使用している化学物質に対して健診が必要かどうかの判断はできます)

Q4:どこを調べても出てこない化学物質については?
A4:特殊検診が必要とされている化学物質以外は特殊検診の実施義務はありません。

(*注 特殊検診では特定化学物質と言う名称で随時特殊検診が必要な化学物質が指定されています。そこに取り扱いが無ければ健康診断実施の義務はありません。実際に調べてみても何も情報が無い化学物質は沢山ありますが、それらは法的な健康診断実施義務がないと考えましょう。だからと言って安全な化学物質であるとは言えませんので注意が必要です)

最後に監督官の方が言っていたのは、特殊検診は一般家庭ではまず取り扱うことの無い有害である可能性のある作業環境や、化学物質を取り扱う業務を行わせる場合に義務付けられているものと言う考え方をしてくださいというものでした。

この様な仕事を行った結果、場合によっては病気になる可能性があるのですが、その際に会社側が適正に法律に則って作業を行わせていたかを証明する一つの手段が特殊検診なのです。そしてそれは法律にも明記されているわけです。これは危険物を取り扱う事業を行うのであれば必ず押さえておかなければならないポイントになると言えます。もしも裁判になることがあれば、義務を果たしているかどうかは大きな違いを生むことになるでしょう。

医療機関側の人間としては事実を説明し、判断をもらうしかありません。最終的には特殊検診の実施無くして適切な健康管理をしていたという証明を行うことは困難ではないですか?と話をして納得してもらっているような状況です。

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