特定保健指導に関する率直な意見

今のやり方が最善でないのは間違いないと思います。

特定保健指導を受けたことがあるという人も多いことでしょう。良かったという方もいれば、そうでもないという方もいるかもしれません。

誤解を招きかねないので最初に断っておきたいのですが、現在実際に特定保健指導に携わっている方々の健康に対する意識や姿勢は非常に高いものであり、そのための手法については何ら疑問を呈するところではありません。

この分野は私の専門でもありませんので詳しいことは言えませんが、どのような分野でも効果が出たり効果が出なかったりするのは当たり前のことです。しかしながら健診の現場に求められる特定保健指導の在り方を考えると、今の仕組みはいかがなものかと思うのもまた事実です。

例えばですね、特定保健指導は制度の開始当初から以下のような仕組みがありました。きっと頭の良い方が考えたものなのだと思います。簡単にまとめると以下のような感じです。

*健康保険組合に実施の義務付け(実施しないとペナルティあり)

*本人の状況によって1回、または半年にわたる指導が無料で実施される。

面白い仕組みだと思います。健保に実施を義務付けて、その実施度合いから補助金の額を上下させるという仕組みで、積極的に取り組んだ方が健保運営にお得ですよ、というように仕組まれています。

本人の金銭的負担も無く無料ですので、受けたいと思った人が受けやすく、実施率を努力次第で高められるようになっています。この仕組みがうまく回転すれば健康増進のために非常に役立つ仕組みになったことでしょう。しかしながら、健診の現場では実際のところ、特定保健指導は厄介な存在でもあります。

繰り返しになりますが、特定保健指導に従事されているほとんどの方は素晴らしい方々だと思っていますが、その実施方法と、受ける側の気持ちがなかなかうまくかみ合っていないのです。

例えば、以下のような問題は健診機関にとっては悩みの種です。

*健診当日に特定保健指導を実施してほしい。
(実施率を高めたい・・)

*バスで出向く出張健診でも特定保健指導を実施してほしい。

(実施率を高めたい・・)

健診の当日に保健指導を行うためには、通常の健診とは別に作業工程が増えます。特定保健指導の実施判定基準に血液検査がありますので、自前で検査が出来る医療機関は速やかに結果を出して間違いの内容に確認しなければなりませんし、受診される方もその間は待っていなければなりません。

さらには対象になった際に受診される方に十分な時間があり、特定保健指導を受ける意識を十分に持っていることが必要になります。そしてそのタイミングでフリーの状態にある管理栄養士や保健師と面談スペースが確保されている必要があります。

私の職場では1日に100~200人程度が健康診断や人間ドックをしており、その中に特定保健指導の当日実施の可能性がある方がランダムに入ってきます。これらを漏れなく拾い、結果をチェックして特定保健指導の当日実施を案内するというのはかなりの負担です。

さらには受ける側も予定していないことですから負担になるでしょう。ここまでして特定保健指導をしようと考えるのに十分な報酬があるのかというと疑問符が付くのが現在の制度です。

勿論特定保健指導を実施すると決して安くない金額が入りますが、健診を実施して本人の都合が合わなければならないという不確定要素が多いために一つのビジネスとして計算しにくいのが現実です。効率的に特定保健指導が出来れば話は変わりますが、現実的には困難です。

そして昨年あたりからはバスでの出張健診でも特定保健指導の実施を求めてくる健康保険組合が増えてきています。多分、これは加入している事業所側の事情もあってのことだと思いますが、あるかないかもわからない特定保健指導のために人を出せるほど健診の仕事は余裕のあるものではありません。

こんなことを言い出す背景はやはり目標という名のノルマだと思うのです。血液検査の結果もわからない現場ですから、やればいいってものではないと思います。指導のきっかけを作るという意味もあるのかもしれませんが、改善の余地ありですよ、ほんとに・・。

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